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space×drama2016の感想を様々な視点で載せていきます 。300文字以上の感想を各劇団が書いていきます。皆様もコメント欄に是非お書き下さい!


by spacedrama
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劇団冷凍うさぎ『ペチカとエトランジェ』感想 CQ/ツカモトオサム

舞台監督CQ/ツカモトオサムです。
s×d、3本目、冷凍うさぎを29日(日)観劇。
多くの偏屈者のアーティストが産み出した作品のオマージュであり、寓話風にまとめた風刺劇。
登場する人物の個性や劇中の出来事は、誇張されてはいるが現実のメタファーであり、この国は現代の日本であり、拡大解釈すれば世界全体でもある。
日本の別称の一つに大八洲と言うのがあるが、外八洲・内八洲史観によると世界は日本を模して造られており、歴史や地理に於いても日本史に符合する世界史が多く存在し、日本の主な島の形状が世界の大陸に見立てられ、世界の大陸を日本地図に当てはめれば、端々に見事符合する地名が実際に在って、あながち偶然の一致では済まされない多くの事実から、日本雛形論を真剣に説く学者もいる。
日本雛形論によると日本は世界の縮図である。
劇団冷凍うさぎ『ペチカとエトランジェ』感想 CQ/ツカモトオサム_b0140858_04335670.jpg


客席を進むと舞台と言う異世界があり、そこに迷い込んだ異邦人である主人公の記者は、多くの人々との出会いから世の中の貧困や争い、政治や経済やエネルギー、医療、教育、宗教、云々、社会の表側、裏側と、あらゆる問題を見て歩きながら、何一つ記事に書けないで居る。
唯一、上司から記事として認められるのは、自らが起こした炭坑の火災事故であり、つまりはヤラセ報道である。
世界で起こる事件や事故は、決して対岸の火事では済まされない。
それは日本でも起こるコトであり、既に起きたコトかも知れない。
情報量が多過ぎて、処理しきれない作品でもあるが、それは現在の日本に生きる我々一人々々の姿に他ならない。
この作品は変だ、どこかおかしい、間違っていると感じたなら、それは正しい思考と言える。
現代をここまで誇張しなければ間違いが判らないほど、世界も社会も歪曲し、事件に、事故に、日常に、我々は麻痺しているのだ。
私の見立ては些か異常か、或いは極端かも知れない。
メタファーにこだわる必要もない。
感じたままが全てで、それが一体何なのかを自分なりに考察しなければ、観劇することにも慣れてしまう。
終演後、アフターイベントに観劇講座を呼んでくれてありがとう。
観劇もまた一期一会、初めて観る作品に最初から慣れる筈などないのだ。
色々と考えさせられる作品で、教えと戒めも見事に描かれた、まさしく寓話劇であった。
by spacedrama | 2016-06-11 04:18 | 劇団冷凍うさぎ感想