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space×drama2016の感想を様々な視点で載せていきます 。300文字以上の感想を各劇団が書いていきます。皆様もコメント欄に是非お書き下さい!


by spacedrama
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カメハウス『どろどろどるーんぷらすてぃっく』(広瀬泰弘)


彼らがどれだけ凄いか、そんなこと知っている人はもうずっと前から知っている。でも、知らない人もいるだろうから、今回スペドラに参加して、ちゃんと今までのファン以外の人にも認知してもらえばいい。スペドラの最後を飾る今回のトップバッターとしてカメハウスが登場した。今回の作品はいつもの彼らの作品とはいささか趣が異なるけど、これは傑作だ。

それだけで、初めて見た人たちを驚かせ、その魅力の虜にしたらいい。それが可能な作品だと思う。冒頭五分以上(たぶん)続くパフォーマンスに圧倒されるのだ。きっと。そして、その後、始まる静かな劇にも、驚くことだろう。さらには、あの圧倒的で過激な濡れ場にも。

もちろん、この個人的な青春回顧劇には、普遍性なんかない。そんなもの、亀井さんは意図しない。エンタメとして、これを楽しんでくれてもいい。重くて暗い青春劇と思っても、いい。万華鏡なのだ。どんなふうにも映る不思議の世界。高校の教室を舞台にして、ここはある種の檻で、そこに収監されている子どもたちは自由を奪われ、おとなしく、静かに死んだように生きている。だが、主人公の彼はここから死ぬことを通して抜け出そうとする。だが、果たして死ぬことがほんとうの自由を獲得することになるのか。だいたい彼は何に囚われていたのか。これはその「謎ときミステリ」でもある。答えはある。ある意味それは平凡な結論だ。だが、それこそが普遍で、そこに帰着する時、この作品は傑作となる。誰もが心当たりのある憂鬱と感傷がちゃんと描かれる。
by spacedrama | 2016-05-17 22:20 | 劇団カメハウス感想