space×drama2016の感想を様々な視点で載せていきます 。300文字以上の感想を各劇団が書いていきます。皆様もコメント欄に是非お書き下さい!


by spacedrama
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『彼女じゃない人に起こしてもらう』(すっ太郎)


 台詞を聞いてると、本当に面白かったんです。

 でも、劇場体験としては大いに不満です。


 あんな女性を知ってる。電車でとにかく遠い知らないところへ行く衝動も知ってる。雨が降ってる日に絶対自殺はしない。するなら、突き抜けるくらいの青空。あんなの、僕だったらとっくにめちゃくちゃにしてる。想像できる、しょーもない、分かる、それは面白かったんです。
 のだけど、この作品で扱われていたそれらの台詞は本だけで成立する台詞です。

「傘さして行くんですか」

 のくだりとか、シビれるくらいいいセリフやと思ったんですけど、本で、自分の時間で、誰とも共有しなくて良い時間で、これを体験しても、僕は同様にこの台詞の背景を鮮やかに想像して、その良さを噛みしめることができるのです。

 わざわざ劇場に出かけて、舞台効果や舞台俳優の身体や発語によって、またそれを観客が共有することによって、時間やドラマ、何か超常的な力が特別に濃縮されたり、破裂したりしないのなら、僕は家に引きこもります。

 単に人間の模倣をする演劇はもう抜け出したいです。人間界にいる人間がいかに面白いかはダウンタウンのまっちゃんが随分前に教えてくれました。


 そしてそれ以前に、今回の芝居はいたるところに粗さが見えて残念でした。
 時間経過、マイム、暗転のルールが判然としないです。何か理由があったのかもしれませんが伝わっていません。提示が足りないのです。同じ俳優による演じ分けも、演劇としての純粋な必然ではなく、上演上の都合にしかなってないように見えました。舞台美術もきたない。一貫したルールやエネルギーが織りなす、この演劇における美しいリズムが見出せません。


人間界の模倣は面白い、雑多な人間を批判して見下せる。けれど、模倣をするなら、芸と呼べるまでに昇華させてほしい。この模倣についても、象徴的なものを抽出してデフォルメするのか、完全に現実あるものを再現するのか、模倣の手法にバラつきがありました。それもこの演劇が美しく調和して響かなかった一因だと思います。
 一番言いたいことは、海のシーンでの男優2人による漫才じみた会話についてです。ツッコミの勢いと鋭さは、決してアンコントロラブルな身体性からは生まれません。全然違います。僕はツッコミはできません。すいません。

 あ、海で、カップルが走り去る風で、静止しているヒロインの髪が綺麗に揺れたのは最高でしたね。あれは、あの舞台空間でないと成立しない距離によって初めて発生した風と作用で、純粋でありました。



 結局、なんでもできる舞台空間で日常の模倣を多用しては、冗長に過ぎる演劇になってしまうのだと思います。台詞が本当に良いだけに、とっても悔しいです。

「傘さして行くんですか」

 の前後とかほんまに天才やと思いました。さっきも書きましたけど。
 小説なら買いたいです。でも小説って舞台のチケットより安いんですよね。
 僕ら、ほんまに頑張らなあかんのと思います。

 ドキドキぼーいずも、あさってから京都で本公演なので、ほんまに頑張ります。
 アトリエ劇研です。愛と退屈の国です。ドキドキぼーいずです。
 すいません。
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by spacedrama | 2015-05-11 13:39 | s×d2015 | Comments(0)