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space×drama2016の感想を様々な視点で載せていきます 。300文字以上の感想を各劇団が書いていきます。皆様もコメント欄に是非お書き下さい!


by spacedrama
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スペドラ2013 感想

舞台監督ツカモトです。
舞監@日誌を休止中ですので、直接投稿します。
space×drama2013、早くも閉幕ですね。
今回も幸いながら全作品を観劇できました。
ざっくりですが、感想を述べておきます。

かのうとおっさん『大阪BABYLON』
素晴らしいバカバカしさ。
客入れで圧倒的な存在感を誇る金色のオブジェが劇中で全く活かされないどころか、触れられることもなく凄い。
前半、ちびまる子ちゃん。
後半、バブルへGO!!
バビロンである必要も全くないが、それに触れてはならない。
狙い通りの主人公の素人演技は最高級で、もう笑うしかない。
エンタメを真面目にふざけて作るお手本のような作品である。
スペドラ2013、優勝かドンケツは間違いない。

匿名劇壇『気持ちいい教育』
設定も脚本も面白い。
構成も悪くない。
役者も若手劇団と思えぬ達者揃いである。
ラストの謎解きも良く出来ている。
惜しいのは、作品が何を描きたいのかが判然としないことで、教育問題を取り沙汰するでもなく、SF作品として謎解きを考えさせるでもない。
しっかりと問題提起する材料は揃っているし、タイムパラドックス物として謎解きをベースに爽快感溢れる作品にも出来たであろう。
カーテンコールで最後の一人が清掃具入れに退場する意味をもっと楽しみたい。

カンセイの法則『田舎に住み人たち(R)』
舞台監督としても悔いの残る作品であった。
今回は演出の永冨氏が仕事の関係で初日までしか居らず、作品の詰めが為されていない。
この作品の最終形は、本編と思える全ての場面が、実は電話で語られる回想シーンとなることと思っている。
電話で報告される話の内容が、それぞれのシーンとして電話のシーンに挿入されてこそ完成度が増し、田舎と都会の距離感を電話で表現し、更に思いを伝えることの大切さを描けると思うのだ。
これまで、永冨氏とそんな作品の作り込みを続けて来た。
再演を希望したい。

劇団東京ペンギン『天王寺:10王子 tennoji's tenojis』
オープニングパフォーマンスがクロムっぽい。
構成も似ているが、未完成ながら独自性も感じる。
メタファーが直接的過ぎるが、踏み込みが足らない。
後進国と侮っていたアジア諸国に脅かされ、遠い国のアメリカには良いようにあしらわれ、窮地に立つ日本の姿をもっと真摯に描かねばならない。
天皇制に対し、歴史を重んじ存続させるべき賛成派なのか、断固として廃絶すべき反対派なのか、立場もあやふやで問題提起にもなっていない。
ラストに126代目の天王が誕生する場面、つまり現皇太子が126代目の天皇に即位することで、この物語が平成の終わりを描いた作品であることに気付くのだが、全く衝撃を感じない。
更に深く描くべきである。

劇的☆ジャンク堂『オゾケ・ストロベリィ・ドォルズ/イーッ!!』
2本見ると2つの作品が同一テーマで描かれた、対を成す作品であることが判るだろう。
もし1本だけを見たなら、何故に登場人物が怪人やロボットであるのか判らない。
更に舞台が時間を違えた同じ場所であることや、登場人物の内の二人だけが時間を隔てた同一人物であることにも気付かない。
つまり2作品見ないと楽しみは半減する。
ならば初めからダブルプロットで一本の作品として構成した方が完成度も高いし、登場人物の違和感も無くなる。
2本立てなので演出的にも粗く、1本にした方が演出の密度も増すであろう。
一度も笑顔を見せない少女が最後に笑うのも、ずっと笑顔を絶やさぬ少女が最後に涙を流すのも、演劇ではよくあるプロットながら、一つの作品の中で同時に描かれるのは見たことない設定なので、それを是非見てみたい。


※特別招致公演の2作品は別に記す。
by spacedrama | 2013-06-15 11:27 | s×d2013