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space×drama2016の感想を様々な視点で載せていきます 。300文字以上の感想を各劇団が書いていきます。皆様もコメント欄に是非お書き下さい!


by spacedrama
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突劇金魚『幼虫主人の庭』劇評

全体的にふわふわ、カラフル。泣き声までもふわふわで、そんな演出にとても好感を持ちました。
男性と女性が結婚して、広い庭の一軒家に住んだ。それから、いろいろありまして、夫と妻は、変わらずその家にいた。というお話。
その間にお婿さんのお兄さんと飼い犬が家に来たり、お嫁さんの妹達が家に住んだり、広い庭には嫁さんのご家族とあさからぬ因縁のある幼虫がいたり、賑やかな敷地。
かたや妹達はよく食べ育つし、幼虫は全く食べない、でも無理矢理食べた。そうして皆さなぎになって、大人になってゆきました。
かと思いきや、なんとお嫁さんはこの家にまだいるではありませんか。幸せだった結婚式の写真を眺めたりなんかしちゃってさ、というお話。

あらすじについては、他の方の劇評を参考にしていただければと思います。すみません。

以下、驚いたところ、不可解なところです。

お嫁さんが、一軒家を建てるんじゃなくて、結婚式がしたかった、と言ったくだり。
恐らくその言葉を聞いた男性陣はポカンとしたのではないかと思われるのですが、いかがでしょうか。
お互いの目につく癖を言い争ってしまい仲直りしかけたその時に、お前はそんな事を言う。わざと夫を怒らせたいのでしょうか。
お芝居全体を通して女性と男性の立場の応酬。微妙なイライラに切なくなりました。

ご飯が、いかにもコンビニで買ったふうなので、気になりました。

お兄さんが庭になったとこ。あんまりにも唐突なのに、すごく同調してしまうところでした。
行方不明の兄を探す弟さん。いつも兄さんと一緒にいた犬だけが、どこへ行ったか知っていて、わんわん吠えてみるけど伝わらなくって、もういいやと投げ出すところ。
お兄さんはもう人間にはならないんでしょうか。もしそうだとしたらそれは本当に恐ろしいお芝居だと思います。
が、思い切って庭になってしまえるのなら、少しがんばったら人間にまたなれるんじゃないのだろうか。
弟が、ふとして兄を忘れた頃に、ひょっこり戻ってこないだろうか。
だとしたらなんて嬉しいお芝居なんだ。
兄が気になる存在にとてもなってしまいました。


お芝居の終わり頃。少し時が経って、妹達は何かに成長して飛んでゆき、幼虫主人も飛んでゆき、お兄さんは庭になって、一番はじめと変わらない夫婦生活がありました。
でもお嫁さんには羽根が生えてました。結婚式の写真なんか見てにやけておって。
結婚なんかしちゃうから、お嫁さんだけ飛べなかったのでしょうか。
結婚式をしたげたから、それだけで彼女は夫と生活するのでしょうか。


突劇金魚さんは、ふわふわなのに、刺さるなあと、不可解だなあおもしろいなあと、思いました。
ところどころ、勝手な解釈を入れてしまい、申し訳ありません…

最後の最後に、
犬と、お兄さんと、幼虫主人が対峙するとこ。お兄さんの手には虫とり網が光っておって。
とても好きな構図でした。

幼虫主人が一番おかしな格好をして、一番もっともな事を言っていました。
確かにそこは幼虫主人の庭ですね。人間はおかしな事ばっかし言っていますね。
確かに。そう思いました



コトリ会議 山本正典
by spacedrama | 2010-07-15 01:12 | s×d2010