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space×drama2016の感想を様々な視点で載せていきます 。300文字以上の感想を各劇団が書いていきます。皆様もコメント欄に是非お書き下さい!


by spacedrama
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「アイサツはハイセツよりタイセツ」 特攻舞台Baku_団

大好きで止まないバンドが活動休止宣言をしてしまい、
ラストライブでスパークして少々腑抜けになってしまっている仁井千絵です。

それでも人生進んでゆくしかないのです。
前を見てね。

音楽って、すばらしいとかみ締めております。
演者とお客の命のやり取りって言っても過言じゃないです。
さて、今回はそんなバンド活動で音楽と向き合い、
中指立てながら奮闘する主人公と、音楽につかづ離れず寄り添いながら
生きてゆく人々のお話。

この芝居のイメージは「赤」です。
政治的なことではなくて、色としての赤。
血の色でもあるし、情熱を表すときの色でもあるし。

介護と聞けば、とかく真面目で、おちゃらけられへんやんって
感じになりがちな題材なのにどこまでもポップに仕上がってて、
痛快だねぇ~とさえ思わせる。

時折、ロッキーホラーショーを観ている気分にもなれて
米粒を投げそうにもなるくらいに、中へ入っていけました。
ゲストコーナーがあったので、ちょっと一体感を味わう。
うろ覚えの絵だけじゃなくて、アントワネットとは…(笑

施設で生活する人たちに、最初は正直戸惑ってしまいましたが
だんだんと慣れてきた自分がいて、楽しめるんですよね。
一人ひとりが抱えている問題は、個性として捉えることで
支える人間側の個性も光ってくる。
舞台美術も部屋のナンバープレートを移動させて
場所を展開してゆくところ、スキです、この感じ。

観ているうちに幼稚園のときに同じクラスだった子が、
知的障害だったことを思い出した。
クラスの誰しも知っていたけど、だからどーしたって空気だったことも含めて。
彼女は今、どんな生活を送っているのだろうかと、ふと思いを馳せたみた。
家族といるのか、ひとり暮らしているのか、施設にいるのか。

音楽は人を救い、突き落としもする。
芝居の主体は音楽ではないのだろうけど、絡まったことで
重苦しく受け取りがちなことも、そうは見えないし、
義理ではあるけれど母親の持つおおらかさが、ティラミスみたいかも。
濃厚なクリームが重なって、土台のスポンジには濃い目のエスプレッソが染み込んでいて。
いろんな人々がかもし出す、すっぱいフランボワーズソースもかかっていたかな。

そして、芝居のところどころに阿部サダヲの影が見え隠れ…。
これがいいスパイスになっている。

今回は舞台だったけど、映画になっても面白いと思う。
舞台ではできなかった効果を使いながら、映画として世に出しても
楽しめる作品だったと、何の権限もない一般人が勝手に思っています。

介護をする側、される側、私は将来どちらの生活を送ることになるんだろうなぁ。
ちょっと、考えてみた。
by spacedrama | 2009-09-06 23:31 | s×d2009