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space×drama2016の感想を様々な視点で載せていきます 。300文字以上の感想を各劇団が書いていきます。皆様もコメント欄に是非お書き下さい!


by spacedrama
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遊劇舞台 二月病「LEFT~榛名ベース到れる~」感想(遊劇舞台二月病 中川真一)

第碌回公演「LEFT〜榛名ベース到れる〜」
無事、終演いたしました。
皆様への感謝の気持ちが絶えません。
本当にありがとうございました。
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僕の感想の前にあらすじと、製作意図を

【あらすじ】
進藤隆三郎は活動家であった。彼女の持原好子は、芸者をしており、身売りされてきた女の子たちの生き方の改善を訴えていた。友や先輩も各々、大事な思想があり、夢があった。
進藤は、仲間の想いが形になる事を望んでいた。
制限されていく活動の中、真面目な革命左派との共闘が始まる。
拠点基地となる榛名ベースではメンバーの思想がぶつかり合い、活発な議論が交わされた。しかし、次第に、自己の共産主義化という思想の弾圧が始まり、内部での権力争いが起こるようになる。
そして思想の弾圧は直接的な暴力となり、ついには死者を出してしまう。
山岳ベースという閉鎖空間の中で手法と目的が入り乱れ自己を見失う者が続出する中、進藤には譲れないものがあり、それを必死に守ろうとし、守れなかった。
進藤は自らの命をも失ってしまったが、彼の必死の抵抗が残したものを誰が受け取れるのだろうか。

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【製作意図】
昨年に安保関連法案に対するデモが各地で長期間にわたり行われました。
反対だ賛成だ、左翼だ右翼だリベラル派だと耳にする機会が多くなった一年でした。
その中で、自分で考え、思い悩み行動した人はどれほどいたのかと疑問に思いました。全てのデモ参加者が、本当の自分の意志でそこにいたのか。多数派であれ少数派であれ、他人の意見に乗っかり流されてそこにいた者も存在したのではないか。インターネットの掲示板でも、言論の風潮に流され選択を誘導された書き込みが、さも冷静に俯瞰されたかのようなつもりで少数派を必要以上に批判する事も多々あったように思います。
これらの実態のない活動や言論が横行し、越えてはいけない一線を越え、守るべき人命をないがしろにした時代が過去にあった事を思い出しました。
なので、この度、遊劇舞台二月病は1971年からの連合赤軍事件から、榛名ベースで起きた事件を取り扱い、人命尊重の視点から現代社会への警鐘を鳴らす事が出来ればと思います。
この作品を通じて、「あなたの考えは、本当にあなたが大事にしている事を覚えていますか」と、自問する勇気を与えれるよう、誠心誠意、作品に取り組んだ所存です。
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僕の感想は何よりも感謝が立ちます。
皆様、本当にありがとうございました。
また、取材を受けて下さった皆様、文献資料を届けていただいた皆様、ありがとうございました。

今回、事件をほぼそのまま、実名を使用して描きました。その中で唯一、現在も強い意志と覚悟を持ち活動を行っている女性がいます。深い悲しみと長い孤独の中で闘い続けた方です。
彼女の「進藤隆三郎の名誉を回復させてやって下さい」との言葉を、少しでも背負えた事を痛く感じ入ります。
連合赤軍の山岳ベース事件は様々な媒体、メディアで取り扱われてきた題材です。進藤隆三郎氏はいつも、ヒッピーで女たらしでヒモ男で考えの甘い男として描かれています。
しかし、証言や坂口弘氏の 著作から思い起こる彼の姿は、全く異なりました。
愛する人を処刑出来なかった彼の思いが甘いものであるならば、僕も甘さを受け入れたい。むしろ、全ての人にそうであって欲しい。

僕の中に動いていた彼らが、悩んでいた彼らが、生きていた彼らが帰ってきました。
でも、凄惨な事件の結果は変わらない。変えられないし、変えてはいけない。
間違いは間違いのままに、凄惨な事件ではなく、思いのこもった生き様と死に様をなんとか描こうと思いました。
蘇った彼らに「表現としての暴力」として、実際に殴らせる事が、僕にはできなかった。彼らは持ち得た優しさにムチを打ち抑えつけ闘ったというのに。
やはり、僕はとことん甘いみたいです。

今回の公演を通して、亡くなってしまった彼らではなく、生きていた彼らに思いを馳せ、過ちを繰り返してはいけないと、考えて貰えた方が一人でも多くなる事を願いました。

皆様、本当にありがとうございました。

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遊劇舞台二月病
中川 真一

by spacedrama | 2016-05-29 14:53 | 遊劇舞台二月病感想